須田慎一郎『下流喰い―消費者金融の実態』

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

金融ジャーナリスト須田慎一郎による消費者金融のルポ。この人の本ははじめてだが、名前は神足裕司がよく紙面でスダッチって書いてる人(だよね?)なのでよく見かけて気になってた。
知り合いが相次いで感想を書いていたので読んでみた。基本的に読後感は重い。消費者金融の隆盛を極める経緯を追っているルポ。その隆盛の原材料となったのは格差社会における下流に属する人々が中心である。なのだが、その消費者金融やさらにエスカレートした各種ヤミ金などで回収業務を行っている人々も元をたどれば弱者社会にあたり、下流下流を喰うという構図の上に巨大な利益が出来上がり、地方の中心都市の駅前などはどこも同じ風景になってゆく。
だけどね、単純に消費者金融怖いねー利用したくない、とかいってすませられるものでもないのですよ。我々ネット上のサービスで生きている人間は、収入のかなりの部分を消費者金融からの広告に依存して生きていることを意識しなければならない。半端な額ではないよ。実際この記事に付くAdSenseも金融関係だらけになるだろうし。本書でも広告の問題はマスメディアのタブーとして取り上げられているが、ネットビジネスもそれに続くことになるのだろうか。