マリオ・リヴィオ著, 斉藤隆央訳『なぜこの方程式は解けないか? 天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密』

なぜこの方程式は解けないか?―天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密

なぜこの方程式は解けないか?―天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密

自然界に遍在する対称性と、その対称性を記述する言語である群論について、歴史、芸術、その他の身近なたとえ話などを大量にちりばめて数学の専門書とは違った読み物に仕立てられてます。2次方程式の解の公式は中学生のときに習うし、3次、4次にも複雑ではあるけれど解の公式が存在します。しかし5次以上の方程式には一般的な解の公式が存在しない。多少は数学に興味がある人なら一度は見聞きしたことがあるこのことは、方程式の解の「対称性」を考えることによって群論への道が開けていった、その様を書いています。そこで決定的な役割を演じながら共に若くしてこの世を去った2人の天才数学者、アーベルとガロアについても(期待通り)ページを割いてくれています。
前半ちょっと読みにくいかなーと思ったんだけど(実際、週末にホテルで読みかけたんだけどそのまま寝てしまった)、アーベルの話になった第4章あたりから読むのを止めららなくなりました。続くガロアについての第5章とともに、涙なくして読めない。その後は結婚相手を効率的に見つける方法とか心理学の話とかアインシュタインの脳とか対称性を軸にしつつトピックは様々に飛び移り、これはこれでたのしめる。それから、著者の専門である物理学の話題を扱った第7章は掛け値なしに面白い。
5次方程式の話については数学的な証明が書いてあるわけではないので、表題にもなってる「解けない」のがなぜなのかを知りたい人は別の数学の本を読む必要がありますが、専門書を読む前の魅力的な導入になっていると思います。ちょっとだけ難点を挙げると訳注がややうるさい感じがするんですが、それはまあ些細な問題で、ダメというわけではない。
些細な問題ついでに、本書の邦題は上記の通りですが、原題は『The Equation That Couldn't Be Solved: How Mathematical Genius Discovered the Language of Symmetry』で、素直に訳せは『解けない方程式』となる。私なんかはこっちの方がミステリアスな感じがして魅力的なように思えるんだけど、いわゆる「さおだけ系」ネーミングにあやかってこうなったのかなーなどと想像してしまう。原書のペーパーバックはこちら。
The Equation That Couldn't Be Solved: How Mathematical Genius Discovered the Language of Symmetry

The Equation That Couldn't Be Solved: How Mathematical Genius Discovered the Language of Symmetry