ベン・メズリック著, 夏目大訳『facebook』

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メズリックの新刊が出た、それも夏目大さんの訳で!!*1 というので買いに走ったのだが、邦題を見て腰が砕けそうになった。原題は『The Accidental Billionare』で、たしかにfacebookの創業期を扱っているのでまあ端的でわかりやすいといえばわかりやすいのであるが。
メズリックのこれまでの作品と同様に、膨大な関係者への取材をもとにした実話を小説仕立てで描くという手法なのだが、今回はその対象が我々もよく知っているものだというのがちょっと戸惑う。
中身はその多くをエドゥワルド・サヴェリンという男の視点からの記述によっている。この人はFacebookがまだハーバードでのローカルサービスだったときに資金を提供したりしたファウンダの1人だというのだが、つい最近までほとんど無視されている状態で、他のFacebookの役員からは非常に冷淡な扱いを受けていたらしい。我々にもおなじみのNapsterやPlaxoのファウンダであるSean Parkerは初期のFacebook社長であり、本書のストーリ中でも非常に重要な役割を果たすのだが、彼がどういう扱いになるかというのは本のネタバレになるが現実にどうなっているかは既に知っているのでここで書いていいのかどうか迷ってしまうという変な状態である。
ちなみにMark Zuckerbargへの取材は最後まで実現しなかったという。
この作品も既に映画化が決定しているそうで、こんなに早い時期に創業期の話が映画になってしまうFacebookもすごいというかなんというか。ともかく本は面白かったです。邦題はやっぱもうちょっとちゃんと付けて欲しかったなあ、とか思う。

追記

映画版の監督は『セブン』とか『ファイト・クラブ』のデビッド・フィンチャーだった!!

追々記

公開された映画も見たので感想を書きました。

*1:この人は私の翻訳のお師匠さんの1人