ジョーダン・ベルフォート『ウォール街狂乱日記』

ウォール街狂乱日記―「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生

ウォール街狂乱日記―「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生

原題は『The Wolf of Wall Street』ですが、そもそもウォールストリートの話ではないそうです。今年に年明け早々で読むのは皮肉すぎるような気がしますが、たまたま手に持って開いたら止まんなくなってしまいました。
証券会社の経営者として20代でビリオネアになり、ドラッグ中毒かつ証券詐欺容疑で刑務所行きとなった著者が、それまでのやりすぎでクレイジーな日常を綴っています。家族6人で1回食事して2万ドルとか、AMEXの1ヶ月の請求が50万ドルとか、旅先で愛用のドラッグが切れちゃってジェット機で届けさせるだとか、そんな話がてんこ盛りです。よくoverdoseで死ななかったなー、と思う。率直に書いている部分がどこまで真実かわからない、というかおそらく意図的に虚実取り混ぜてあるのでしょうし、どうやら映画化を意識していて*1あえて派手に書いているのではないか? とも思いますが。
ただ、やっぱり実際に大金を湯水のごとく使っていた迫力はあります。部下を前に行うスピーチが何回か出てくるのだけれど、読んでるうちにこっちまで説得されそうになる。人を煽るのがうますぎで、これが法律スレスレ(本人談)の詐欺的手法を駆使しながら会社を急成長させる秘訣なのかと思うと真似できん。
訳者による解説は辛辣で、著者をウォール街の狼と呼ばれたトレーダーなどではなく、全国的にはほぼ無名でただの証券詐欺師と断定している。まあ実際に刑務所入ってるからそうなんだろうけど。
この金融恐慌の中でこんな本を読むのは不謹慎な気がしないでもないですが、ハチャメチャっぷりが面白いことは確か。

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*1:実際スコセッシ監督とディカプリオ主演でもう映画化決まってるらしい