野口悠紀雄『円安バブル崩壊』

円安バブル崩壊―金融緩和政策の大失敗

円安バブル崩壊―金融緩和政策の大失敗

週刊ダイヤモンド誌でずっと連載している「超」整理日誌の13冊目の単行本化。単純に連載を集めただけではなく、加筆再構成されて普通に書下し書籍のようになっている。前回のときも思ったが、近頃は雑談的な話題が非常に少なくなり、ほとんどが日本経済に関することが主題になっている。しかもその論調が非常に苦しそう。
円安バブルという言葉に象徴される金融(為替)政策、構造改革論、税制、年金問題など著者の主張を概要を平易な形でざっと解説している形になっている。このシリーズの読者だけでなく、はじめて読む人にもオススメなのではないだろうか。しかもこの人は80年代から一貫した内容で、ほとんどブレがないところがすごい。
表題の円安バブルについては、製造業の業績が回復したように見えるのは単に為替レートに政府が過介入しているからで、その結果として円キャリー取引の増大を生み円安が自己増殖する、というような感じ。ビッグマックレートでは1ドル70円でもおかしくない、というような書き方でおおざっぱにわかりやすく説明している。