牧山桂子『次郎と正子 娘が語る素顔の白洲家』

次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家

次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家

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いやあ、素晴しい。白洲次郎・正子といういまとなっては伝説のような2人の長女に生まれた著者が日々の暮しを通して両親のひととなりを語る。
長女の目線からは、父と母の描き方が一様ではない。特に母の正子が「常に娘と競い合う」ような人であったことへの反感も隠さず、それでも魅力的に描かれるところがこの家族の生来のおもしろさなのだろう。
政界、財界の著名人や文化人が多数登場してエピソードを織りなし、上流階級の暮しそのものであるにも関わらず、娘の目からは普通の親であったりそうあってほしいという願いであったり、というものが見えてきて思わず親しみがわく。
そしてこのようなエピソードを巧みに記憶して描写することができるこの著者もやはりただものではない、まぎれもないこの二人の娘なのだなということに嘆息します。
大変面白かった。私はお能が好きというか勉強中なこともあって、白洲正子の著書は何冊も持っていますが、白洲次郎についてはあまりよく知りませんでした。最近また相次いて評伝が出ているようなので、そちらも読んでみようかな。