田崎真也『接待の一流』

接待の一流  おもてなしは技術です (光文社新書)

接待の一流 おもてなしは技術です (光文社新書)

いやもう、読むと背筋が寒くなるというか、逆にいうといま読めてよかったというか、私にとっては天と地がひっくり返るようなすごい読書体験でした。はずかしいからこの本読んで感動したとかあんまり書きたくない気持ちにもなってるんですが、そうも言ってられないので紹介します。
ともかく、日本人は接待下手です。接待に必要なのはなによりも「もてなしの心」であるといいます。でも、もてなしの習慣が感覚的に身についていないと、なにをどうするのが「もてなし」なのかという意識が根本的にずれてしまって、がんばって努力しても方向が間違ってたりするのです。
本書ではそういった見当違いの事態にならないために、常に「もてなしのトライアングル」を形成することを意識せよ、と説きます。トライアングルは、もてなす側であるホスト、もてなされる側であるゲスト、そしてホストがゲストをもてなすのを助けるためにサービスを行うお店、の三者のこと。ここでいきなり目から鱗がものすごい大量に落ちる。ホストが役目を放棄してお店にもてなし役をやらせてる例がなんと多いことかと。そんなこと常識でしょといってしまえばそれまでなんだけど、私は常識をよく知らないのですごいショックを受けた。もう、穴があったら入りたいというかなんというか。
前半が接待編、後半がデート編です。デートも相手をもてなすという発想のもとでは接待と基本は変わらない。日本人男性は特にエスコートが苦手なので、デート編の方がよりやさしい内容になっています。本の冒頭で、接待に慣れていない人はそちらを先に読むようにと指示されている。実践でのアクションの取りかたもかなり細かく解説されているので実際これが非常に助かります。ただし、いわゆるマナー集とかプロトコル集のようなものではありません。そういうのも少しは載ってますが、多くは考え方を紹介しています。
読むとかなりジタバタくる。過去に戻っていろいろ修正したい感じ。まあでもせめて今後はこの教訓を活かせるようにしたい。ソムリエの実力というものを思い知った気がする。