浅羽通明『右翼と左翼』

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

これも非常に面白い。そもそも学生さんから「右翼」「左翼」ってなんなんですかということを聞かれたというところから話がスタートするんですが、よくある辞書的な説明(フランスの議会でジャコバン派が、みたいなやつ)だけだと会話に出てきたり新聞にかかれてたりしてなんとなく形成されてる共通理解みたいなものをあんまりうまく説明できない。それは実は当然の話で、辞書の記述は部分的にしか正しくなくて、本来はフランス革命前後の時代から何十年かの歴史をふまえておかないと右も左も説明できない。そこでまずは歴史から、ものすごくかみくだいて説明しています。実は右とか左とかは相対的な概念で、歴史を通じてその意味が徐々にねじれていく過程などがよくわかる。一例を挙げると、支那や韓国での「反日」運動は「右」か「左」か、という疑問は、こうした過程を頭に入れて考えるとすんなり理解できます。
そしてその考え方が日本にもたらされた後、その捕らえられ方が戦前戦後を通してどのように変化していったか、最終的にどのようにして「右翼」と「左翼」がわからなくなっていったか、といった内容で、いわば最初の学生さんがわからなくて疑問を持つのが当然なんだなーと思えてくるように話が展開していく。とまあこう書くと大雑把すぎるかも、なのでちゃんとした説明はぜひ読んでみてください。非常に読みやすいです。