『ハッカーズ その侵入の手口』のタイトルが許し難い

もう読んだ人もたくさんいると思うけど、インプレスから『ハッカーズ その侵入の手口』という本が出ています。

ハッカーズ その侵入の手口 奴らは常識の斜め上を行く

ハッカーズ その侵入の手口 奴らは常識の斜め上を行く

この日記の読者には説明の要らないあのKevin Mitnikの著書の翻訳です。ただしもちろん彼の過去の手法を解説するわけではなく、他の人がやった様々なジャンルでの侵入行為をインタヴューしている本です。そう書くとちょっとがっかりかも知れないけど、聞き手がMitnikがからこそ語られる話、というのもあるわけだし、やはりとても興味深い本なので日本語訳が出たことは素直によろこびたい。
が、しかし、この邦題の付け方が気に入らない!! 『ハッカーズ その侵入の手口』がタイトルで「やつらは常識の斜め上を行く」が副題になってますが、表紙ではとにかく「ハッカーズ」が目立つ。「侵入の手口」も副題みたいな扱い。ここではもちろん侵入行為(それも大抵は違法、反社会的)を行う者、という意味で「ハッカー」という言葉が使われている。これのどこに問題があるかは長くなるし文章でニュアンスを伝えきる自信がないので今は説明しないけど、まあわかってください。*1
ちなみに原書はこちら。これはペーパーバックだけどハードカバーもある。
The Art of Intrusion: The Real Stories Behind the Exploits of Hackers, Intruders and Deceivers

The Art of Intrusion: The Real Stories Behind the Exploits of Hackers, Intruders and Deceivers

原題は"The Art of Intrusion: The Real Stories Behind the Exploits of Hackers, Intruders & Deceivers"で、たしかにhackersという語は入っているし、あまりいい意味で使ってはいない。ただし、邦題はタイトル直訳というわけでもない。他の単語(intruder, deceiver)が省略されているし常識の斜め上とか出てくるし。なのでここでhackerという単語を原書にあるから使った、という解釈はできません。好意的にな解釈でも hacker, intruder, deceiver という各語を代表させて「ハッカー」と表記したという感じで、意地の悪い解釈だと、日本ではそういうネットで悪いことしそうな人をハッカーと呼ぶからそうした、くらいの可能性もある。
文芸書の版元が、文芸書の出版社だったらそれも(嫌だけど)致し方ないという感じがするんですよ。けれど、他ならぬインプレスがそれをやるというのはちょっと困る。だからといってどういう邦題をつければよかったのかというを具体的に挙げるのは難しいのだが、それにしてもタイトルやレイアウトも含めて今よりはマシな手があったのではないか、と思う。
というわけで読みたいけど気に入らないので買ってないのだ。ただし買わなくても途中まで(全11章中5章まで)はここからPDFでタダで読むことができる。このページはblogでオススメしてもらうためのキャンペーンなのでもっとはやく取り上げていれば応募できたかも知れないけど、どのみちオススメしてないのでダメだったか。

*1:あとで思ったけどこのニュアンスはやはりとても難しいので、一回どこかで言語化しておく必要があるなあ、と感じた。