『賢いはずのあなたが、なぜお金で失敗するのか』

賢いはずのあなたが、なぜお金で失敗するのか

賢いはずのあなたが、なぜお金で失敗するのか

この本むちゃくちゃ面白い。いや、それ以上に身にしみる。財テクの本のように見せかけてぜんぜん違うって、人間がつい取ってしまう不合理な行動について数学的考察や実験データで丁寧に解説を試みるという内容。こういう分野を行動経済学というらしい。
読むと、どうやら「合理的に行動できない」という性質は人間にあらかじめプログラムされているようだということがわかる。いや自分は違うよ、とか思った人は既にこの枠組みにはまってしまっている。自分はともかく世の中には合理的に行動できる人もいるはず、とか思う人は、言葉に反してにその(不合理でない方の)グループに自分を含めてしまっていて、しかもそれは間違っている。
なかなか刺激的な、にわかには認め難い現象だけど、たしかに本の中で例にあがっているような行動によって失敗したり損したり、自分の体験を振り返っただけでも実例の枚挙に暇がないので認めざるを得ない。
これから読むには、同じ本の文庫版が『人はなぜお金で失敗するのか』というタイトルで出ているのでそちらの方が入手しやすいでしょう。