『言葉を育てる 米原万里対談集』

言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)

言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)

亡くなられてから2年以上が経ってもなお新刊が出続ける、米原万里さんの対談集。書いたものがあれだけインパクトあるわけだからしゃべると面白いに決まっているわけだけど、やはりそれぞれ面白い。
解説のかわりに収録されている通訳仲間の黒岩幸子さんの文章が胸を打つ。その全文はロシア語通訳協会のホームページにて全文を読むことが出来ます。

9月のまだ暑い昼下がり、万里さんと私は、鎌倉の彼女の自宅から自転車に乗ってお寺を見に出かけた。入り口付近はありふれた普通のお寺に見えるけれど、奥行きのある境内はかなり広く、古めかしいお堂や墓石が緑の中に佇んでいる。
「両親は共産主義者無神論者だったからお墓はないの。でもこの頃やっぱりお墓がある方がいいと思うようになって」

惜しい人を亡くしたのだな、とあらためて思います。まだ未読の本がたくさんあるので大事に読まないと..、と思うと同時に、本書中で言及しているいくつかの本は(執筆が)間に合わなかったんだということがわかってかなしい。