『Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方』

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

Joel本と同じく青木靖さんによる翻訳。著者のEric SinkはSource GearというISVをやっていて、MicrosoftVisual Studioのアドオン製品などのMS関係デベロッパ向けツールを開発して売っている。
ISV(独立ソフトウェアベンダ)とは要するにソフトウェアを開発してそれを出荷して利益を得ている会社のことを指しており、特に本書内ではgeekがひとりで創業したようなマイクロISVについてフォーカスしている。著者が小さいISVをつくってそれなりに認められつつ現在も新製品を出し続けている秘訣を失敗談も含めた様々な経験と実績とともに語っている。もともとは著者のblogやMSDNのコラムなどに書かれた文章をまとめたもの。
これが本当にめちゃめちゃ面白い。かくたにさんは少しずつ読みすすめていると言ってるが、私は我慢できずに一気に読んでしまいました。
全部で4部に大別されていて、起業家、人、マーケティング、セールスというテーマが順に並んでいる。これがひとりのgeekがソフトウェアを書いてからそれが会社になって製品を販売しなきゃいけなくてというライフサイクルに沿ってるんだね。特にマーケティングやセールスはギーク創業者はどこかで避けて通りたいと思っていたりするので、それを本物のギークの口から語られるとどうしていままでこんなふうに考えられなかったのだろう? っていう感じで道筋がすっきりします。マーケティングの章でも、展示会(なんとかExpoとかなんとかConとか)への出店のベストプラクティスが詳しく説明されたりとか過剰に実践的。
文章も軽妙で、訳文も適切でとても読みやすいです。文句なくオススメできる。Joel on Softwareが説教じみてて好きになれない、という人でも本書はたのしく読めると思います。