石川拓治『奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録』

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

これはめちゃくちゃすごい。NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で特集されたことがあるらしい。そのときの内容はこちら
青森でリンゴ農家を営む木村さんが、絶対に不可能と言われていた完全無農薬でのリンゴ栽培にチャレンジし、十数年の格闘の末についに不可能を可能にしてしまう。その様子が取材をもとにつづられている。
私も農家出身なので無農薬というのが如何に手のかかるものかはよくわかる。まして青森のリンゴのようなその地方の主力品種は長年の蓄積により付近一帯での肥料計画や農薬散布計画がはっきりと決められていて、それに従っていれば収穫できるように最適化されている状態で、そのレールから外れるというのは誰も歩いていない荒野を開拓する行為なのだ。
農薬を1/6にしてもまだリンゴが収穫できる、1/13にしても収量は減ってしまいながらもまだ収穫できる、しかしゼロにすると全く花も咲かない、実がつかない。これだけを見ると減農薬だけで満足してしまいそうなところである。もう十分成果が上がってるじゃないか、というように思ってしまう。本に詳しく書いてありますが、収量ゼロで無農薬を追及していた十数年はほぼ無収入だったと言います。しかもまわりからの支持は全く得られない。ほとんど気が狂ったというような扱い。
そんな絶望的な試みをついにやりとげる瞬間、その瞬間に至るきっかけとなったある気づきについて書かれたところまで読み進んだとき、感動で体が震えてしまいました。これはぜひ読んで体験してもらいたいです。
とにかくすごい。すぐに読んで頂きたい。

ちなみに番組のDVDが買えるようになっているらしい。

これは見たい。買うしかない。