『ブレイクアウト・ストラテジー』

ブレイクアウトストラテジー

ブレイクアウトストラテジー

上に書き切れなかったけど著者はシドニーフィンケルシュタイン、チャールズ・ハーベイ、トマス・ロートンの3人。ビジネススクールの授業など下敷にして、準備に10年執筆に3年をかけたそうです。
書名の「ブレイクアウト」とは、無名の会社が突然トップに躍り出ることを指す。日本語で言われるとことの「ブレイク」の語感に近いとDanさんが言ってるが一読してその通りだと思う。企業が「ブレイクアウト」をするために必要な様々な戦略を、多彩な業界からの膨大な量のケーススタディをもとに解説します。分厚いけど事例が魅力的で読みやすい。
本書ではブレイクアウトの形態を以下の4つに分類します。

  • ベンチャーがいきなりトップに躍進する「強襲タイプ」
  • 停滞していた企業が新戦略によって再躍進する「巻き返しタイプ」
  • 限定された市場を持つ企業が市場を拡大し躍進する「拡張タイプ」
  • 既に成功した企業でも徹底した変革によりさらに躍進する「変身タイプ」

豊富に紹介される事例をこれらのいずれかにあてはめつつ、成功した(ブレイクアウトした)企業に共通の要素を探って行きます。ブレイクアウト企業は共通して備わっている5つの習慣があり、それらを確実に実行しその目標から決して外れないことが、丹念に事例を追って行くとわかるのです。実際列挙されている例を読んで行くとどの企業も結局はものすごくシンプルに成功を目指して突進しています。企業に求められる価値提供の6つの柱(価格、特徴、品質、サポート、サポート、入手しやすさ)を挙げて、これらを複数(ほとんどの場合は全て)満たす戦略を解説してますが、そのブレイクアウト企業も必ずこの価値提供で他の競合から突出していることが解説されます。
もとが教科書らしく明快でわかりやすく、また記述がとても具体的です。例えばブレイクアウトそのものについても、年間2ケタ成長を続けていること、というような基準をかかげ、事例を分析する上でも先にいくつか取り上げたようにざくっと分類してそこにバシバシとあてはめていくので扱われていない企業(典型的には自分の会社(!))について自分が考えてみる上でとても役に立ちそうです。一気に読んでしまいしたが、じっくり取り組めば確実なストラテジーを導き出せそうな本です。
ついでに、単純な成功物語的読み物としても普通に面白い。オススメできます。ちなみに、Appleは巻き返しタイプ及び変身タイプの雄として出てきます。ちょと納得いかないところもあるけどAppleを扱ったビジネス書にありがちな「わかってない感」はそれほど強くなくてまあまあ好感持てます。こんな感じで事例の数が多いので誰が読んでもいくつかは自分が気になる企業が扱われているはず。