山本弘『“環境問題のウソ”のウソ』
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 単行本
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『環ウソ』本の武田教授の主張は一見ショッキングなものだ。しかしその内容を丹念に情報ソースを遡って調べて行くと、データが間違っていたり、恣意的な情報の取捨選択が行われていたりといったことが次々とわかってくる。著者が疑問を持ってそれを調べつつ、武田教授本人にも質問したりして解明して行く様子がつづられています。このあたりは『あったんだ論』なんかと同じように痛快に読めるけど、本をついつい受け流しながら読んでしまう私としては、かなり身につまされる内容です。
この本の批判は正当なもので、『環ウソ本』2冊についてはぐうのねも出ないほど叩きのめされているんだけど、それでも『環ウソ2』の方にはまだ重要な主張が残っていて、それは京都議定書が不平等条約化しているというやつです。これについてはさすがに(根拠とか論理展開はともかく)ウソとは言えないような状態なんだと思いますが、そのせいか具体的に反論はされていない。ただ京都はともかくとしても環境についてどう考えて行くべきなのか? ということについて本書の後半で著者の考え方が述べられていて、そこではやはり武田教授と著者は大きくスタンスが異なっているのがわかります。
また、私にとっても著者の見解の中で考え方が大きく違うなあと思うところが1点ありましたが、これについては別の機会にあとで書くことにしよう。
ところで、本書の書名は『“環境問題のウソ”のウソ』なんだけど、批判の対象になっている本は『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』である。なんでこうなったんだろう? しかもまさにそのものずばり『環境問題のウソ』というタイトルの本も池田清彦さんがちくまプリマー新書から出ているからややこしい。まあこっちの本はこっちの本で、本書でも取り上げられています。しかしなぜ『"環境問題はなぜウソがまかり通るのか"のウソ』というタイトルにしなかったんだろう。