ジョン・ウッド『マイクロソフトでは出会えなかった天職』

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトのアジア担当エクゼクティブだった著者は、休暇中に訪れたネパールの子どもたちが、アメリカの人間からみるとごくわずかなお金が足りないために満足な教育が受けられないということを知って衝撃を受ける。学校にはバックパッカーが置いていった本がほんのわずかにあるだけで、しかもそれらは盗難を恐れて鍵をかけられ置かれていた。自由に読めなければ知識を得ることもできないというのに。
自分たちのほんのわずかなお金でネパールに本を送り図書館を作ることができるはずだ。旅行中にアジアの山奥に本を届けようという夢を持った著者は、それを行動にうつします。そしてついに、大企業でのキャリアにもガールフレンドにも別れを告げて、途上国の子どもたちに本を届けるNPORoom to Readを起ち上げてしまうのです。
その活動は次々と仲間を巻き込んで、本だけに留まらず建物やコンピュータ教室、奨学金などの教育インフラすべてに渡る一大事業に成長します。目標は、2020年までに1000万人の子どもに学びの場を届けること。
自ら綴るその軌跡には、様々な決意があり逡巡があり偶然があります。著者が要所要所でどうやって物事を決めてきたのかを率直に書いているのを読んでいるだけでスリリングで、そして実際に大きなムーヴメントを起こしているのを知るとじっとしてはいられない気分になるでしょう。これは実際に読んでもらった方がいいです。オススメです。読むと泣く。

原題は『Leaving Microsoft to Change the World』で、表紙は原書の方が迫力あります。

Leaving Microsoft to Change the World: An Entrepreneur’s Odyssey to Educate the World’s Children

Leaving Microsoft to Change the World: An Entrepreneur’s Odyssey to Educate the World’s Children

交通インフラが整っていないネパールの山奥に大量の本を届けるために、ヤクの背中に本を積んで運ばなければならないこともある。単に本を送るということだけでもものすごく大変そうなことがわかる写真ですね。この写真そのものは訳書でも中に入ってます。

あと書きにによると Marc Andreessen が Room to Read に投資してるみたいで、元Microsoftの人間がやってる事業に投資してくれてありがとうと書かれている。