バートン・マルキール『ウォール街のランダムウォーカー』

ここ1週間くらい、平日の空いた時間はずっとこれを読んでました。今日は待ち時間が多かったのでなんとか読み切れた。

ウォール街のランダム・ウォーカー―株式投資の不滅の真理

ウォール街のランダム・ウォーカー―株式投資の不滅の真理

もともとはJoel Spolskyの課題図書リスト*1に挙がっててかつ邦訳があるものを全部読もうと思って買ってあったもの。
原書『A Random Walk Down Wall Street』はもう第9版まで出ていますが、この和訳は原書第8版に対応してます。新版の翻訳も近いうちに出るらしい。定評のある超定番教科書だけあって、読みごたえあります。それに語り口がユーモアあふれてて非常に読みやすい。私はまだそんな大口の投資をやったことなどないのですが、投資を行う前に本書を読んでいるのといないのとでは、結果も過程も雲泥の差があっただろうと思います。
前半では株価の決定について考察していて、特にバブルの歴史を紹介しているのだけれど、60年代には「-トロニクス」株がバブルになってたとかいうくだりを見て人間のやることなんか全く変わっとらんのだなーと感じつつ、ついこないだの「ドットコム」バブルがこれまでで最強のバブルであるといったところまで、スリリングに読めます。
後半が投資戦略についての話題で、いわゆる「テクニカル分析」を「証券会社が手数料収入を得るためには重要だ」とかってけちょんけちょんにけなしてる(それはもううれしそうに)のがたのしい。さらに標的は「ファンダメンタル」の人たちにも及び、結局のところ株式投資で市場を上まわるリターンを得るのは長期的にはムリ、これは素人だけじゃなくてプロのファンドマネージャでも検証してみるとやっぱりムリだから投資信託でも同じこと、だから普通の人は何も考えずにインデックスファンド買っとけ、みたいな感じになる。このインデックスファンド買っとけという結論は橘玲さんの本にも書いてありましたが、本書の中ではそれが膨大な研究データを参照した上での結果として提示されてます。
他にはリスクという概念の誤解とかその評価方法とか、とてもおもしろい。なるほど、必読文献になるのはよくわかるよ。もし将来この方面で本格的に活動する羽目に陥ったら、まっさきに引っぱり出してきて再読しなきゃいかんな、これは、という感じでした。原書(第9版)はこちら。
A Random Walk Down Wall Street: The Time-Tested Strategy for Successful Investing

A Random Walk Down Wall Street: The Time-Tested Strategy for Successful Investing

追記

新版の邦訳が予定通り5月に発売されたので、いまから読む人はこちらを買いましょう。

ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理

ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理

*1:もとのリストはこれで、邦訳版はid:yomoyomoさんが作成されたもの。