山川健一『「書ける人」になるブログ文章教室』

これはある意味でとても「読みたかった」本です。山川健一さんは好きな作家さんのひとり、多数の著書がある。そして現在はアメーバブックス編集長として、blogの書籍化をたくさん手がけていて、そんな立場からblogで文章を発表するとはどういうことかとか、そこから文章教室、そして書籍化について語っています。
この人は上にも書いた通りとても好きな書き手なんだけど、ひとつは自身で「キザ」と言っているその文体と自意識で、もうひとつはこの著者がMac好き、であるから。それも並大抵のレベルではない、Mac関係の本も何冊もあるのだが、特に、何年も前(正確には2000年の6月28日という記録がある)に読んだ著書『日曜日のiMac』がものすごく感動的なのだ! ちょっと横道にそれるけど先にこの本について語ります。
日曜日のiMac (I’M HERE books)

日曜日のiMac (I’M HERE books)

この本は本当に文章からiMacへの愛がにじみ出ていて、箱を開けてiMacに少しずつ触りながら、親しみを感じながら、1週間を過ごしていく、というとても素敵な本なのです。その中では、今はもう出会うこともなくなった「爆弾」との付き合いにも触れられていたり、まるでデキの悪いペットをいとおしむようにしてiMacとの時を過ごしながら、愛情をはぐくんでゆく。
そして特筆すべきは、その最終章において、iMacを表現のツールとして使って「小説を書く」ことをすすめているのです。これが琴線に響かないわけがなかった。
私はこの本を読んで、いつか自分の言葉でこれを書こうと、当時は山川さんはClassicなMac使いだったから、Mac OS Xでこれを書こう、そう『日曜日のMac OS X』を私が書こう、とずっと思っていたのです。実は私がこれまで書いた『あなたがMacを使うべき10の理由』『あなたがMacを使わない10の理由』はこれの影響を受けている*1。書きたいと思っていた『日曜日〜』の一部が投影されているのです。あ、あんまりネタバレしたくなかったのにうっかり書いちゃった。
もとの話に戻す。そんな著者が書いた、blogという現代における自己表現ツールでの文章をテーマにした本です。ブログ出版ちょっとビミョーとか思ってる人でも一度このキザさ加減に触れておく価値はある。そして『日曜日のiMac』での「小説を書く」方法の増補改訂版も付いています。これは非常にうれしい。
なんでこの日記書いて公開してるのか、そんなことを思い浮かべながら、時に自意識に身悶えながら、読ませていただきました。すごいフレッシュな気持ちを思い出してしまったよ。

*1:当然「〜10の理由」の文体も山川健一の影響を受けているのだが、それに加えてさらにガイ・カワサキ(とその小田嶋隆による翻訳)の要素もふりかけてある。