堀井憲一郎『若者殺しの時代』

若者殺しの時代 (講談社現代新書)

若者殺しの時代 (講談社現代新書)

たつをさんとこで見て読みました。書店でタイトルだけ見たときは格差社会とか社会保障危機とかそれ系の内容だと勝手に思い込んでたので取り上げてくれてなかったら読んでないと思う。
クリスマスが恋人たちのためのイベントになったのはいつからか? 初詣の参拝客数で明治神宮がダントツトップになったのはいつからか? 大学の単位はかつて「取る」ものだったのにいつから「来る」ものになったのか? 大宅壮一文庫に通い詰めて週刊誌を読みまくった結果わかったこれらの症状から著者は、現代がかなり「終わり」に近い時代になっていると言う。1945年の終戦とともに始まった体制が、1995年頃にほぼこの形になった。社会の寿命というのは50年くらいなのだ。
著者が「逃げろ」という若者殺しの状況についての考察をほとんどオマケのような議論だと思ったとしてもなお本書は面白い。自分たちが体験してきた時代は、緩慢で気がつかないけど集団ヒステリーみたいなものなのだ。著者が所属した大学漫研*1などはそのヒステリーにもっとも派手に振り回された部類で、その転機は1989年である。理由は当時中学生だった私も同人誌の真似事をやっていたの嫌でもわかる、というか忘れていたけど思い出した。
80年代論のように読める本なのだが、私にとってはいかに自分が過去を忘れていたか、というのを実感させられる読み物であり、例えば『ウェブ進化論』なんかを読んで素直によろこんでる自分のナイーブさが認識できた。あ、私は変な読み方しちゃったけど、単純に知識本としても面白いと思うよ。

*1:「サークルの2年後輩の町山智浩が」などという記述も出てきて(p72)クスリとする部分もあり。町山さん映研じゃなくて漫研だったんだ。