マーク・ブキャナン『複雑な世界、単純な法則』
- 作者: マーク・ブキャナン,阪本芳久
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/02/25
- メディア: 単行本
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さて、この本はさすがに読み応えありました。前半でワッツ&ストロガッツの論文でこの分野が注目されたことの紹介から入りって基礎的なネットワーク構造を解説、ネットワークに非常に単純なルールをいくつか付加するだけでスモールワールド的性質を持たせることを説明して、ネットワークの成長のさせ方のひとつとしてバラバシも出てくる。面白さが加速するのは中盤以降で、これらの理論を下敷きにしてわかってきたいろいろな研究の成果をブラウズしてます。もともとの研究の発端の人間関係から始まって航空ルートとかインターネットとか脳神経細胞とか河川の流域面積とか生態系とかAIDSの感染経路とかお金の貯まり方とかその他もろもろ。とにかくありとあらゆるものが対象で、読んでるとこれで考えられないものなんかないんじゃないの? とかいう気分になる。
とはいえ、邦訳の出版から2年近く、原著からは3年以上も経ってるのでその後の展開とかが気になるし、去年yucoさんが、6次の隔たりの説明としてよく引き合いに出されるミルグラムの実験には根拠がないということを書いていてくれてこれがとても面白かったりしたのでこのあたりの現在の発展も気になる。このブキャナンの本なんかでは人間関係のネットワークより他の例の方が面白いし、理論的な構造が社会の様々な場所にあらわれて説明に使えるということが本の訴えてるところなんだけど、人間関係のネットワークに関する現在の話はそれはそれで興味あるよね。などなど。やはりいま読むといろいろと気になるところもあるのだった。次は何を読めばいいのだろうか。