岩瀬大輔『ハーバードMBA留学記』

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

かなりすごい。もともと著者がHBSに留学してたときに書いていたblogがあってそれを書籍化したものなんですが、blogにあった日記的なところはずばっと省略されて、ケース分析中心ゲストがゴーカな授業風景や、ヘッジファンドNPOでのインターンでの体験、それらを通してのPE・ヘッジファンドや日米双方の資本主義への考察などなどといったMBA本的内容にまとめられていて、いわゆるblog本とは違ったとこを目指してるんではないかと思われます。
留学体験モノみたいなのは前から私の好きなジャンルなので見つけたら分野を問わずついつい買ってしまうし、この方の場合はどこで知ったのか忘れましたがblogの方もたまに読んでいたので、なんとなく内容が予想できるような気がして積んだままだった、にも関わらず順番待ちを昇格させて通して読んでみたのは梅田さんが取り上げていたからであります。
ということでこうして1冊の本になったものを集中的に読んでみると、かなりド迫力。本の記述は著者がHBSでも成績上位5%以内で修了というベイカスカラーなるものに選ばれてパーティに出席してるところから始まるんだけど、こんな感じでそもそもこの方自身が並の人物ではなくて、そういったこう、なんというか日本人離れしたところがblogでパラパラ読むのよりもダイレクトに伝わってきておっかないわけです。実はここがこの本の最大の魅力で、要するに留学する前から投資銀行で活躍してたりするイヤミなくらい超優秀な人が、他にもハンパではなく優秀な人が掃いて捨てるほど集まってるHBSでばりばりと頭角をあらわしていくというのをすがすがしい気持ちで味わう、そういった楽しみ方ができます。
著者のblogは新しくハーバード留学記 その後になって本になった部分より後の話が書かれているのですが、いま見に行ってみたら上位5%の理由とかいってベイカスカラーに入るための戦略を実践をもとに冷静に分析していたりして、またこれがあっさり書いてるように見えて困る(なにがだ)。こんな感じで著者の経歴などから一見すると雲上の人になりそうなもんなんだけど、あまりそういったイメージが前面に出てこない(と思って読んでいくうちに強烈に感じることになるが)ところがなんとなく新しいインテリのかたちという気もする。