鈴木貴博『アマゾンのロングテールは、二度笑う』

実は立ち読みなのですが、斜め読みで読み切ってしまったので。アレなタイトルだが、タチの悪い便乗本ではない(まあギリギリだけど)。時代によって儲かる企業、成功する企業というものの形は変わってゆくので、観察してみるとそれぞれの時代で勝者は常に「有利な土俵」で戦っている、と説きます。イトーヨーカドーは優良企業のように世間に思われているけど、実際にはグループのほとんどの利益をセブンイレブン・ジャパンが上げる利益やセブンイレブン株での配当金に頼っていて、単体での数値はむしろダイエーと大差ない。要するにスーパーマーケットが衰退産業であって、コンビニを中核事業にしているかどうかだけの違いであり、そうやって事業内容を時代に合わせて変化させて行ける企業だけが長く生き残る、という話。
タイトルの由来ははアマゾンについての分析で、書籍通販をインターネットで効率化して売り上げが上がりました、というのが最初の成功で、ただしこの時点では大書店の通販部門と大差ない。それがアフィリエイトなどを駆使してさらに売り上げているというのが2回目の成功。ロングテールという言葉はここで出てくる。二度笑う、というのもこの2つの成功のことである。本書には書いてないことなんだけど、私見ではこの2度目に笑うことができた必須要因としてdeveloper向けのapiの公開を含めておきたい。
そしてさらに本の内容から飛躍しますが、最近のamazonを見ているとどうやら彼らは3度目の成功の種を見付けたようだ、と私には思えます。もちろん本当に成功する(した)かどうかは結果が出て振り返ってみるまではわかりませんが、少なくとも彼らはそれについて本気で取り組んでいるようです。それは何か? という話はあとで書く(予定)。