宮崎哲弥『新書365冊』

新書365冊 (朝日新書)

新書365冊 (朝日新書)

新書ブームがついに朝日新聞社にまで、という感じの朝日新書の最初のラインナップの1冊。2002年から今年までに刊行された新書を『諸君』連載で書評していったものを中心に構成しているらしい。連載時は毎月60冊から多いときには100冊以上の新書を読んでたそうです。もはやブームというよりも単なる書籍判型のひとつという気もしますが、ともかく安くて持ち運びもしやすいので私もついつい買っちゃうし、この本みたいな新書ガイド本ももれなく買わされてるような状態です。
本編は、各ジャンルごとにBest, Betterってランク付けして内容を1冊あたり数ページで解説・紹介、More..でさらに追加して1センテンスでたくさん並べて紹介してます。好みや思想の違いはあっても、ひとりの読み手が一定期間の全点をチェックして選んでくれているものなので、相応に粒揃いで迫力あります。そもそも専門外のジャンルも含めて全冊読破するなんてこと自体がふつうはなかなか出来ません。少なくとも各ジャンルのBestに選ばれてるもののうちで、未読のものは近いうちに読了したい。後の方には「問題な新書」と称して、ジャンル横断的にWorstとして困った新書も約30冊とりあげてあって、これもけっこうたのしい。でも荻野のお気に入りの黒川伊保子さんの『ガギグゲゴ』がトンデモ本認定されている..。
各ジャンルでBest, Better, Moreがそれぞれ何冊ずつ選ばれているかを載せておくので、章立てや選び方の偏りなんかの参考にしてください(目視でてきとーに数えただけなので間違ってるかも知れません、注意)。

Chapter&Genre Best Better More
1. 教養 4 7 8
2. 哲学・論理学・数学 0 5 8
3. 政治・国際問題 7 13 26
4. 経済と金融・会計 2 4 9
5. 法と自由 5 9 6
6. 歴史・文学・ことば 3 16 33
7. 社会・会社 1 2 5
8. 若者・教育 2 7 6
9. 犯罪と監視社会 1 4 4
10. 生きる・死ぬ 4 6 3
11. 科学 1 1 10
12. 脳・心・からだ 4 7 16
13. メディア 2 4 8
14. 文化 5 12 32
15. 宗教 4 13 12

こうして見ると科学系は関心が薄い(もともとの出版点数の違いはあったとしても)ことがわかるし、そもそもテクノロジー関係は取り上げられていない気がするが、1人でレビューするならこれは仕方ないでしょう。このあと第16章が『問題な新書』でWorstが29冊、最終章に、連載以後に読まれたものが紹介されていて、Best&Betterが25冊、Worstが2冊あります。Worstを除くと合計366冊。あれ? やっぱり数え間違ってるかも。
最終章の『その後の「新書完全読破」』では、最近の新書の中でもピカイチに面白かった白田秀彰さんの『インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門』が「いま読むべきは、レッシグよりもシロタじゃないかな」などと書かれていた。