土方薫『文系人間のための金融工学の本』

文系人間のための金融工学の本

文系人間のための金融工学の本

その昔、山形浩生さんがCUTの書評欄で『やわらかく考える金融工学―ツキと後悔のリスク分析』をちょっと面白いとりあげ方をしてすすめていたので気になってしまい、読もうと思って本屋さんに行ったときに間違って同じ著者のこの本を買ってしまったのだった。その後、放置されてたんだけど今野先生の本で金融工学おもろいのうと思った記念に読んでみた(のわりには間が空いてるが)。ちなみに本来の目的だった方の本も結局買ったのだけど、積んだまま家の中で行方不明になっている。
それはともかく、これは文系人間だけじゃなく、そこそこ理系の私にもとてもわかりやすくて面白かった。デリバティブというものが難しいというイメージを持たれているのを、わかりやすく解説してみようというコンセプトの本なのであるが、はまちスワップなどの秀逸な例を出しながらデリバティブの仕組み、はてはオプションの価格理論までをなんとなく説明してしまう。トレーダという人はこんなことを考えてるというのも、仕組みと心理の両面から(簡略化されてるにしろ)説明しきっているような気がする。そして行動心理学的に判断を間違いがちな場合というのを例示していて、このへんがもう1冊の(もともと読みたかった方の)本につながっていくのかなあ、という感じ。金融工学経営学というものがはじめてリアルに繋った気がします。