コンピュータチェスと計算機のコスト

梅田望夫さんフォーサイトの連載「シリコンバレーからの手紙107」を読んでいて、

 しかしここで注目すべきは、チェス最強ソフトを作るためにはIBMという巨大組織の資本が必要であるという考え方は、九〇年代までの古い感覚だということなのだ。

というところがすごく気になってしまった。Garry KasparovとIBMのDeep Blueの対戦が話題になったのは1997年である。当時のDeep Blueと同じくらいの処理能力(たしか1T Flops)を持った計算機を今作ったら、いくらくらいかかるんだろう。1997年ていうとPCではPentium IIが出たばっか、くらいの時期。プロセッサの処理能力だけなら100倍くらいにはなってると思う。PCクラスタで楽々作れちゃったりしないかな、と思ってちょっと考えてみた。
MacユーザにはおなじみのVirginia TechのSystem X(またの名をBigMac)Xserve 1100台*1で12T Flopsだそうなので、単純に考えると100台くらいあればいいのか。個人では難しいけど不可能ではない、という感じだなあ。
なんでそんなことを考えたかというと、後に読んだその対戦のカスパロフ側からのドキュメント(こっちを参照)からは、かなりIBM勝ち逃げ的なイメージを持ったからである。Deep Blueはカスパロフ戦の後には(カスパロフ側からは再戦要求があったにも関らず)解体されてしまう。もったいないなあ。たとえば世界選手権に参加して人間と混ざって長期的にランキング争いをしたりすればもっといろいろなことがわかったと思う。とはいえDeep Blueはおそらく運用コストも巨額なものだろうし、その費用負担をIBMに拒否されればそれまだなので簡単には望めなかったのだろうけど、それが今なら出来るんじゃないかと妄想してしまうのである。

*1:Macに詳しくない人のために補足すると、おおざっぱに1台40万のハードウェアだと思ってください