佐藤卓己『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学』ちくま新書

八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544)

八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544)

読書を控えていると言いながら、これは買ってしまったからには旬を外さないうちに読まねばなるまい。
多くの人は、八月十五日が終戦記念日だということを特に疑問を抱かずいます。この日に靖国神社に参拝するとかしないとかで議論になったり。でも、ミズーリ号での降伏文書調印が行われた9/2ではなく、8/15(天皇玉音放送の日)が終戦だと周知されてきたのはなぜなのか? どのような手段によって? といったことをメディア研究として読み解いていく本です。
私は特に歴史に無知なので、いつ教えられたかも思い出せないまま8/15=終戦と記憶してました。終戦当時から現在に至るまでの各種メディアを丹念に追っていくことによって、これがある種の作られた「物語」であったことと、その成立に日本人の習性が役立ったことなどがわかっていきます。
非常に面白い。冒頭で玉音放送全文が引用され、序章が印象的な閉じ方をするとその後は一気に読めます。久しぶりに1冊の手応えが大きい新書でした。