Amazonに書いたSWEBOKのレビュー

ソフトウェアを作るという仕事に関係する様々な技術ポインタが広範囲にわたって紹介されています。
情報量としては相当なものです。本・論文のガイドなどとしては良いのかも知れない。でもこれが知識? 体系? 事典として使うにはいいかも知れませんが、なにかを筋道立てて理解するとか、通読してひととおりの素養とするといった目的のためのものではありません。

紹介されているような論文を原典まで遡って参照したくなるような研究者には非常に有用ですが、現場感覚は全くありません。今、現実に何か問題を抱えていて、その回答を求めている過程で理論的なサポートが欲しい、といった場合には役に立たないので、他の本を選択された方が良いでしょう。

一例。ソフトウェアエンジニアリングという言葉の定義が本文中に見当たりません。かろうじて監訳者の前書きにはそれを試みた部分がありますが、つまり原書が書かれたときには、この根本的な疑問が相手にされていないようです。